■最近、普通の日記、書いてませんね。
……いつもどおりの凪のような日々をすごしてますよ。
 
 
■妖精の国 (テス視点)
「フルートって言うのはね、笛よ、笛。綺麗な銀色の横笛。私が見たら分かるから、テスは犯人を探してくれればいいの」
「そうなの?」
「そうよ」
ボクは、ベラにフルートっていうのが何かを聞いてから、妖精の国にある町を見て回った。
みんな、ベラによく似てる。紫色の髪の毛で、綺麗な緑色した服を着てる。

「ここは季節をつかさどる妖精の国。このまま春を告げられないと世界は冷え切ってしまうでしょう」
って、女の人が悲しそうに言っている。
「そうよね、いつも冬って言っても、ここまで寒くはならなかったわ」
「ボク、雪って好きだよ」
「そういう問題でもないのよ」
ベラがまた、がっくりしたように言った。
ボク、何か間違ったのかな?って思ったけど、ベラはそれ以上何にも言わなかった。

こんなことを言ってる人もいた。
「ポワンさまも考えが甘いのよ。妖精も人間も怪物ですら、みんなで仲よくくらそうだなんて……。だからフルートを盗まれたりするんだわ」
「私はポワンさまの考えに大賛成だから、ああいう意見は寂しいわ」
ベラが泣きそうな顔をしていった。
「ベラ、泣いちゃ駄目だよ。ボクも、みーんな仲良くなったら、いいなあって思うよ」
「テスもそう思う?」
「うん」
ボクが頷くと、ゲレゲレも「がう」ってほえた。
「……ちょっと元気になったわ、ありがとう」

「あわわわ! おぬしが連れているのはまさしくキラーパンサー! まだ小さいとはいえ、地獄の殺し屋キラーパンサーが人間になつくとは……信じられんわいっ」
町のはずれにいたおじいさんはそういって、ゲレゲレとボクをじっと見た。
「ちがうよー、ゲレゲレは猫だよー」
「……まあ、おぬしがそういうなら、いいんだがの」
おじいさんは肩をすくめて、困ったようにゲレゲレを見た。ゲレゲレはきょとん、っておじいさんを見返してる。
キラーパンサーって、つよーい魔物だよね。ゲレゲレはいじめられてた猫だもん、そんなわけ、ないもん。
 
色々町の人に話を聞いてたら、フルートを盗んだ悪いやつを見かけた人が何人かいた。なんか、北のほうにある氷の館ってところに逃げていったんだって。
それとは別に、西のほうにはこの町を追い出されたドワーフのおじいさんがいるんだって。おじいさんは、鍵を開ける方法を思いついたから、追い出されちゃったんだって。
ポワン様だったら、追い出さなかったんだって。
ちょっと、かわいそうだなあ。今なら平気なんだったら、おじいさんに「もう帰ってきても平気だよ」って、教えてあげなきゃ。
そう思って、ベラに言ってみたら、ベラも「そうね、それもいいかもしれないわね」って言った。
北の氷の館ってところに行く前に、ちょっとよってみることにした。
 
 
ボクとゲレゲレと、ベラの三人で、西のほうへ歩いていく。
結構長く歩いたところに、その洞窟があった。
「わたし、洞窟って入るの初めて。テスは?」
「ボク、二回目」
「テスってもしかして、見た目によらず結構冒険に慣れてるのね。たのもしいわ」
ベラはにっこり笑ったけど、洞窟にはいってすぐに笑わなくなった。じめじめしてて、暗いから恐いんだって。
ビアンカちゃんなら何ていうかな?きっと平気だって言うんだろうなって、ちょっと思った。
 
ドワーフのおじいさんは、洞窟の入り口に近いところに住んでた。スライムも一緒に住んでた。
「うわ! 人間と妖精だ! フルートを盗んだのはボクじゃないよっ。ザイルがやったんだよ!」
ぴょこんぴょこんってはねながら、スライムはいう。
「ザイルって、だあれ?」
ボクがスライムに聞くと、おじいさんが答えた。
「ザイルというのは、わしが一緒に住んでる子じゃよ。しかし……まったくザイルにはあきれてしまうわい。わしが、ポワンさまに追いだされたとカン違いして、仕返しを考えるとは……。妖精の村から来たお方よ。おわびといってはなんだが、カギの技法をさずけよう。カギの技法は、この洞くつ深く宝箱のなかに封印した。どうかザイルを正しい道にもどしてやってくだされ」
おじいさんは、ちょっと泣いてるみたいだった。
「うん、わかったよ。ザイルを見つけて、いい子にしてなきゃ駄目だよって、いってあげる」
「小さい子よ、お願いだよ」
おじいさんに手を振って、ボクらは洞窟の階段をおりた。

何回か、魔物にがーって襲われたけど、先にゲレゲレがうなってボクらにおしえてくれたから、そんなにビックリしないですんだし、ベラが魔法をがーって使ってくれたから、恐くなかった。
 
随分奥の方までいったら、宝箱の中に、鍵を開ける方法がかいてある巻物があった。絵がついてたから、ボクでもわかったけど、大体はベラが読んでくれた。字が読めるって、格好いいなあ。
近くにあった、鍵がしてあるドアで練習してみたら、簡単に開いた。
「すごーい、本当に開いたわ! テスって器用ね。でも、悪いことに使っちゃだめよ?」
「うん、わかってるよー」
ボクらは来た道を戻って、おじいさんに挨拶した。
「おお! カギの技法を身につけましたなっ! どうかザイルを正しい道にもどしてやってくだされ」
「うん、約束ね」
 
洞窟の出口で、ベラが
「私って、方向音痴なのよ。テスがいてくれてよかったわ」
って、小さな声で恥ずかしそうに言った。
……方向音痴って、なんだろう?
そう思ったけど、ベラに聞いたらいけないんだろうなって思ったから、聞かなかった。
お家に帰ったらサンチョに聞いてみようと思った。

 
つづく。

 
■この、あんまり広くもない「西の洞窟」でも、ばっちり迷子になりました。平面(SFC)の時には全然迷わなかったのになあ。立体って……。まさか東に通路があるなんて思わなかったんだよ。
鍵のついてる扉も「鍵開けの技法」を持ってるにもかかわらず、しばらく開け方が分からなくて悩んだもんなぁ。
確実にPS2の映像マジックに悩まされております。勝手にドツボにはまってるともいいますが。
 
あと二回くらいで妖精の国は終わりでしょうか?
……あああ。何だか気持ちが暗いです。
 
 
 

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