■今日はレヌール城を終わらせよう! がんばろう! オー!
 
 
 
■レヌール城 5 (テス視点)
落ちた先は、さっきたいまつを取りに行った台所だった。ボクとビアンカちゃんは骨のお化けと、男の人のお化けが料理をしているお皿の上に乗っかってた。
「子どもを料理するなんてできません!」
男の人が叫んでる。
「うるさい、地獄に送るぞ!」
骨のお化けがいうと、男の人は泣きながらゴメンゴメンって謝りながら、僕とビアンカちゃんに味付けをした。
「……やっぱり、材料って私達だったのね」
「え? ビアンカちゃん知ってたの?」
「そんな気がしたのよね……」
「でもさあ、ビアンカちゃん。上でご飯待ってたお化けも骨だったよね。食べてもおなか膨れないよね。……食べる意味ってあるのかな?」
「テス、あなたこんな状況でそんな事考えてる余裕がよくあるわね」
ビアンカちゃんが泣きそうな声で言った。
ビアンカちゃんが泣くのはいやだなあ。
そう思ってると、ボクらが乗ってたお皿が、机ごと上に運ばれ始めた。大広間の、骨のお化けたちに囲まれてる。
「おお! うまそうだ」
「やっとごちそうが出たぞ!」
って、骨のお化けたちがいっせいにボクらに手を伸ばす。
「食べられてなんか、あげない。ビアンカちゃんを泣かせて、許さない」
ボクは立ち上がると、ブーメランを骨に向かって投げつける。
「ちょっと! 誰が泣いたのよ!」
ビアンカちゃんが怒って立ち上がって、とげのむちを振り回す。

気づいたら、骨のお化けはいなくなっていて、ボクらは大広間の真ん中にぽつんと立っていた。
「誰が泣いたって?」
ビアンカちゃんがひくーい声で言ってボクをじとっとにらむ。
「泣きそうだったよ」
「気のせいよ! 大体『泣きそう』と『泣いた』は違うわよ!」
「そうなの?」
「そうよ!」
ビアンカちゃんは腕組みをしてほっぺを膨らませてる。
「ええと、ごめんね。それにしても、ビアンカちゃん、よくそんな長いの、ちゃんとぶつけられるね」
「テスこそ、ブーメランって手から離れるのにちゃんと当てられるってすごいわね」
「……ボクってすごい?」
「私もすごいわよ」
ボクらはにこーっと笑いあうと、机から飛び降りて、また階段をのぼった。
 
真っ暗なところはもういっかい、たいまつをつけて歩く。やっぱり青白い炎は綺麗だと思う。
さっき、ボスのお化けがいたところに着いた。
何でか分からなかったけど、ボスはベランダのほうへ慌てたように走っていく。
「落とし穴のほうからいなくなったわ。今しかチャンスはないわよ、テス! 用意はいい?」
「えーっとねえ」
「トイレとか言わないでよ? もし行きたいなら時間がないからその辺の物陰でしなさいよ」
「……ええと、トイレじゃないから大丈夫。ビアンカちゃんって……強いねえ。怪我、しないでね」
「テスもね」
 
ボクらは、ボスのお化けの後ろから声を上げる。
「さっきはよくもやってくれたわねー!」
「なんと! がいこつどもはお前たちを食べそこねたようだな……。ではこのオレさまが食ってやろう!」
そういって、ボスのお化けが襲い掛かってきた。
 
ボスのお化けは、緑色の服で、じゃらじゃらと首飾りをかけていた。何だか、あんまり恐そうじゃない顔をしてる。
ビアンカちゃんがルカニの呪文を唱えてくれて、後はボクがブーメランをあてたり、ビアンカちゃんのむちがあたったりして、もちろんボスのお化けもボクらを引っかいたりしたけど、とりあえず、ボクらが勝った。
……2対1だからかもしれない。
 
「たっ……助けてくれー! 王と王妃の墓はもと通りにするから!」
ボスのお化けはそういって僕らに手を合わせた。
「……どうしようか、ビアンカちゃん」
「お墓を元通りにするだけじゃなくて、二度とここに悪さをしにこないってのも約束しなさい!」
「わかった、わかったよお嬢ちゃん」
「どうして、このお城に悪いことしたの?」
「俺達は魔界でもはぐれ者でなあ。面白おかしく楽しく過ごせるところがほしかったんだよ……」
「ああ、おじさん可哀想だね。うん、許してあげるね。もう悪いことしちゃ、駄目だよ?」
「へっへっへ。ありがたい。あんたりっぱな大人になるぜ……」
「りっぱって何?」
「偉いって事よ」
「おい! 野郎共引き上げだ!」
ボスのお化けがそういうと、ボスのお化けとか骨のお化けとかがいっせいにどこかに消えてしまった。
「よかった。無事に退治できたわね」
ビアンカちゃんがにっこり笑ってる。
「うん、よかったねえ」
ボクらが握手をしていると、王様と王妃様がやってきた。
「よくやってくれた! 心から礼をいうぞ」
「本当にありがとう。あなたたちのおかげでゆっくり眠れそうです」
「さあ、いこうかおまえ」
「はいあなた……。さようなら。あなたたちのことは忘れません」

そういうと、二人もどこかへ消えてしまった。お化け同士だから、さっきのボスのお化けとかと行くところは一緒なのかなあって思ってビアンカちゃんに聞いたら「一緒なわけ、ないでしょ」って小突かれちゃった。どことどこの違いかなあ?
 
「でも、よかったわね。これからは2人幸せに眠りつづけるはずよ。……でもゴーストたちはなんでこの城をあらしていたのかしら?」
「そうだよね、寝るのは嬉しいよね」
「……それはちょっと、違うわよ」
「そうなの?」
「そうよ」
そうやって話していると、上からきらきらの綺麗な石が落ちてきた。
「あら? なにかしら? きれいな宝石ね。……もしかしたら、あのお化けたち、これがほしくて、お城を荒らしてたのかもしれないわね。でも、これ、きっと私達への王様達からのお礼よ。ねえ持ってゆきましょう」
「いいのかな?」
「いいのよ、お礼なんだもん」
ボクらは、王様達のお墓に手を振って、町のほうへ歩き出した。
ずっと鳴っていた雷も、もう鳴っていない。綺麗な星がいっぱい空に浮かんでた。

 
次の朝、ちょっと遅く起きたら、お父さんやダンカンさん、おかみさんが、ボクとビアンカちゃんがお化けを退治してきたことに、一回は褒めた後、「危ないことをしちゃいけません」って怒った。
……もしかして、ボクは悪い子になっちゃったのかな。
そう思って寂しい気分になったけど、ビアンカちゃんはあんまり気にしてないみたいだった。
「さ、テス! ネコさんを助けに行くわよ!」
ビアンカちゃんに手を引っ張られて、ボクは町の真ん中の広場に歩いていく。
 
ビアンカちゃんのみつあみが、歩くたびにゆれて、それがお日様の光できらきらしてた。
青白い炎でみたビアンカちゃんも綺麗だったけど、お日様のほうが似合うな、って思った。
 
 
レヌール城、おしまい。

 
文字数がやばいです。
「トイレは物陰で」のくだりは、ビアンカちゃん、本当にゲームで発言しました。もう、TVの前で爆笑でした。
ビアンカちゃんは強いや! 多少のことでは動じないね!
ボスはそんなに強くなかったです。レベルの上げすぎかも。
PS2になって台詞が足された分、面白くなってた気はします。
 
次は、ネコさんをもらいに行く話しですね。
さすがに一回で終わるだろう!
 

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索