■まだレヌール城か。くそぅ長いな。
 
 
 
■レヌール城 3 (ビアンカ視点)
「ちょっとー! 出しなさいよー!」
真っ暗で、狭くて、息苦しかった。
階段のところで、真っ暗になる瞬間。私とテスはたくさんの骸骨に取り囲まれてたような気がする。そのあと、気づいたらここに閉じ込められてた。
隣に、テスはいない。私だけ捕まったのかしら。それとも、テスは別のところに閉じ込められたのかしら。
……きっとそう。私はお姉ちゃんだもん、テスのこと、助けに行かなきゃ。でもまず、この狭いところから抜け出せないのが問題だわ。こういうとき、子どもで力がないのが悔しいったらないわよ。
「もうー! 出しなさいってばー!」
何回か叫んでいたら、息が苦しくなってきちゃった。これははっきり言って、まずいわ。私、このままこの中で死んじゃうんじゃない?いやよそんなの。
 
そう思って、必死にそのあとも何回か叫んでいたら、急に目の前が明るくなった。私を閉じ込めていた蓋が開いて、雷が鳴る空が見えた。雷の強烈な光を背に、誰か立ってる。新しいお化けかしら。
「あ、ビアンカちゃん、みーっけ」
聞こえたのは、緊張感のないテスの声。
「なにが『みーっけ』よ、来るのが遅いわよ!」
そんな抗議の声も、テスは聞いていないみたいで、
「ひどいよビアンカちゃん。かくれんぼならそう言ってからにしてよね。ボク、ビアンカちゃんが階段から転げ落ちたのかと思って、先に階段おりちゃったよ」
「そんなに鈍くさくないわよ」
そういいながらテスを見ると、テスはホコリだらけだった。
「ホコリだらけじゃない、どうしたの?」
「階段を降りたところでね、石像が動いてきてね、ボクに殴りかかってきたの。逃げてるときに転んだからねえ、そのせいだと思う」
「えー!? テス、大丈夫だったの!?」
「うん、なんかね、ブーメランを何回か当ててたら、その石像壊れちゃったから」
……テス、強いんだ。そんな大物のお化けを退治してたんなら、まあ、来るのが遅くても仕方ないか。
「ホコリ、払ってあげるからこっちいらっしゃい」
「うん」
ホコリを払うためにテスが近づいたら、何だか血のにおいがした。
「どっか怪我したの?」
「避けるときに転んじゃって」
そういいながら、テスは左の腕をちょっと上げて見せた。見れば手首からひじあたりまで、擦り傷になってる。うわ、痛そう。見てるこっちがちょっと血の気引きそうだわ。
「い、痛くないの?」
「痛いよ」
痛いならそんな平気な顔してないでよね!
「手当てしたげるから、腕、だしなさい」
こっそり持ってきた薬草を、テスの腕に塗ってあげると、テスが顔をしかめた。
「痛いよビアンカちゃん」
「怪我してるんだもん。痛いわよ」
「……しみるよ。痛いよ」
「薬が効いてるのよ」
変なところでよわっちい。見直して損したわ。
「はい、おしまい。さ、こんなお城、さっさとお化け退治して帰るわよ。……もう恐くなんかないんだから。さっきからこけおどしばっかりじゃない!」
私は右手でグーを作って空に向けて突き上げる。テスもつられて同じことをしてた。よし、元気出てきたわ。
 
しばらく歩いていたら、綺麗な女の人を見つけてしまった。こんなところに綺麗な人がいるなんて、変。あれはお化けだわ。
「ビアンカちゃん、あそこにいる人、何か、向こうが透けて見えるよ?」
「……お化けなんだわ、きっと。だからよ」
「お化けって、あんなのなんだ」
「テス、もしかしてお化けが何かも分からないで来てたの?」
テスがこっくりと頷くのを見て、私は体中から力が抜けるような気分になった。さっきから、何かずーっと平気そうに見えて、ちょっと頼もしかったんだけど。そうか、何か分かってないなら恐がりようもないわね。なるほど、納得したわ。
「こんばんわー!」
「!」
テスがその綺麗な人にいきなり話しかけた。
待って、あんたは何か分かってなくて恐くないんでしょうけど、私はそれなりにやっぱり恐いのよ!
話しかけられた女の人のほうも、吃驚したみたいだった。
でも、その人は悲しそうで。恐いお化けじゃないんだってことは、すぐに分かった。
「まあ、こんなところまで来てくれた上に話してくれた人なんてはじめて」
綺麗な声。優しそうな表情。そうか、この人、悪くない人だ。
「私はソフィア。ここの城の王妃です」
ソフィアさんの話だと、この城は10年以上前に、魔物に襲われて全滅しちゃった上に、その魔物が住み着いてみんなのお墓を返してくれないらしいの。で、そのせいで、城の皆が眠れないらしいのよね。かわいそう。
「お墓を、とりもどしてくれませんか?」
「いいよー」
考える暇もないくらいの早さで、テスがかるーく返事をしちゃった。まあ、私も取り返してあげることに反対じゃないからいいんだけど、もうちょっと考えてほしいわ。絶対それ、悪い癖よ。
「ビアンカちゃん、いいよね?」
順番逆!
「いいわよ。ソフィアさん、かわいそうだもん」
私達はソフィアさんに手を振って、その部屋を出た。
 
で。
「ねえ、どうやったらお墓取り戻せるのかな?」
テスは部屋から出たところで首をかしげて困ったように言った。
 
そうなのよ、問題はそれなのよ。
 
 
続く。

 
 
……おかしいなー。妙な枝葉をつけてるせいか、全然進みませんねー。もうそろそろレヌール城抜け出してもよさそうなもんじゃないですか……。長いなあ。これからどうなるのよ(と、先のほうを考えてくらくら)
 
なんか、書いてたらビアンカちゃんが結構てんぱってることが分かりました。可愛いなあ。絶対弱みを見せようとしない女の子。
そういうのって、可愛いよ。
 
果たして私が現実問題として妖精の国をクリアするまでに、こっちのレヌール城は書き終わるのでしょうか?
まあ、今週はちょっとゲーム出来そうにないから……大丈夫かな。
 
 
 

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