名探偵を追いかけろ シリーズ・キャラクター編
2004年11月8日 今日の「本」(活字)
■今日の本
『名探偵を追いかけろ シリーズ・キャラクター編』 ISBN:4334075878 新書 日本推理作家協会 光文社 2004/10/20 ¥1,200 売上人気:84,251位
短編集です。
もともと短編集は好きなのですが、これまで読んでいたのは単一作者による短編集です。今回のはアンソロジー。有名どころの有名キャラクタが集められている本です。
最近、森博嗣や有栖川有栖、東野圭吾といった決まった作家さんしか読んでいなかったので、読む幅を広げるために手っ取り早いカタログ気分で手を出したわけです。
では、各感想。
赤川次郎「三毛猫ホームズの遺失物」
シリーズの全否定になってしまいそうですが、別にこの話に猫はいらないと思いました。わりと推理物としては珍しく警察が「有能」ですね(苦笑)
芦辺拓「名探偵エノケン氏」
この話のトリックのネタになってる逸話がエノケン自体をよく知らないのでわけが分からない、という狐につままれたような話になってます。エノケンが分かればよかったのですが。時代物の難点はここにあると思います。
有栖川有栖「201号室の災厄」
慣れた「火村先生」なので、わりと気軽に読めました。火村先生が格闘系に強いという、そういう部分はあまり期待してないよ、という一面有り。有栖川作品にしては手に汗握ったかも。
逢坂剛「燃える女」
版木がどういう代物なのか、が分かる筋は面白かった。値打ちモノか、はたまた偽物か、という焦点の当て方、そして納得のできる落ち。それは良かったんだけどねえ……。女が版木を取り返したい理由も分かるんだけどねえ。そっちの落ちはなくても良かったよ。
大倉崇裕「サインペインター」
これは結構面白かった。犯人も意外だったし。白戸くんの押しの弱さと日比の押しの強さが対照的で面白かった。これは別の作品を読んでもいいかもしれない。
けど、白戸くんはあまり好きではない。
霞流一「血を吸うマント」
トリックのほうは使い古されている方面のものだったのですがそれでも面白い作品はできるっていう手本みたいな感じ(つまり、種明かしを読んでトリックに気づいた)
文章も読みやすかったから、別の作品を読んでもいいと思った。
加納朋子「虹の家のアリス」
生活くささがかえっていい感じ。話も分かりやすかったし。
ただ、これを読んで母親をするのは楽じゃないな、と思いました(苦笑)
倉知淳「カラスの動物園」
猫丸君がかなり可愛い。脳内にイメージが浮かびました(笑)同時に、長尾さんの空想癖がかなり自分に似ている部分があってちょっと身につまされたり。
このシリーズは面白いのではないか、と思いまして本屋さんに行ってみた。まだ買ってない(というか発見できなかった)たぶん次に手をだすならここだろう。
高橋克彦「筆合戦」
またもや時代系。こっちは専門知識というか、「これを知らなかったら意味が分からない」という部分が少なかったので読みやすかった。新聞のネタを読んでいるだけ、という感覚から一気に全部がまとまってひとつの推理にいたる、という部分はかなり面白かった。
柄刀一「龍之介、黄色い部屋に入ってしまう」
主人公の龍之介くんの性格や話し方はあまり好きではないが、視点として設定されてる「私」は落ち着いていて良い。
人間関係としての話はありがちでも、ビジュアル的なものはかなり派手で全体としては好印象でした。
宮部みゆき「鬼は外」
宮部みゆきは何度読んでも途中で挫折していたので、短編とはいえ読みきったのは初体験。少なくとも、この人は時代物のほうが読みやすいのだな、と認識。内容も結構楽しめた。
ただ、お金が寿八郎を「偽者」だと思い込んだ理由がいまいち未だに分かりません。
森博嗣「いつ入れ替わった?」
読みなれている作家というのは、結局読みやすいのだなあと認識しました。犀川先生です。萌絵ちゃんにプレゼントを渡す話と、警察が悩んでいる事件解決の話が同時進行。
先生がかなり手際よく事件を解決する理由は最後に分かります。
それにしても先生、可愛すぎです。
四季・秋の一歩手前のお話。うっかり文庫版短編集「虚空の逆マトリクス」が出る前に読んじゃってちょっと後悔。
山田正紀「ハブ」
今回の短編集では一番の掘り出し物だった気がします。かなり面白かった。
三つくらいの事件が入れ子状態になっていて、一つ一つで物語ができそうなのに、それを惜しげもなく使っているところがいい。
ヒナコちゃんも可愛いし。うん、これは面白かった。
以上。
とりあえず、猫丸先輩とヒナコちゃんの話はもう少し読みすすめてもいいかな、と思いました。あと宮部みゆきの時代物。
そこそこカタログとしての使命は果たしてくれたと思います。
『名探偵を追いかけろ シリーズ・キャラクター編』 ISBN:4334075878 新書 日本推理作家協会 光文社 2004/10/20 ¥1,200 売上人気:84,251位
短編集です。
もともと短編集は好きなのですが、これまで読んでいたのは単一作者による短編集です。今回のはアンソロジー。有名どころの有名キャラクタが集められている本です。
最近、森博嗣や有栖川有栖、東野圭吾といった決まった作家さんしか読んでいなかったので、読む幅を広げるために手っ取り早いカタログ気分で手を出したわけです。
では、各感想。
赤川次郎「三毛猫ホームズの遺失物」
シリーズの全否定になってしまいそうですが、別にこの話に猫はいらないと思いました。わりと推理物としては珍しく警察が「有能」ですね(苦笑)
芦辺拓「名探偵エノケン氏」
この話のトリックのネタになってる逸話がエノケン自体をよく知らないのでわけが分からない、という狐につままれたような話になってます。エノケンが分かればよかったのですが。時代物の難点はここにあると思います。
有栖川有栖「201号室の災厄」
慣れた「火村先生」なので、わりと気軽に読めました。火村先生が格闘系に強いという、そういう部分はあまり期待してないよ、という一面有り。有栖川作品にしては手に汗握ったかも。
逢坂剛「燃える女」
版木がどういう代物なのか、が分かる筋は面白かった。値打ちモノか、はたまた偽物か、という焦点の当て方、そして納得のできる落ち。それは良かったんだけどねえ……。女が版木を取り返したい理由も分かるんだけどねえ。そっちの落ちはなくても良かったよ。
大倉崇裕「サインペインター」
これは結構面白かった。犯人も意外だったし。白戸くんの押しの弱さと日比の押しの強さが対照的で面白かった。これは別の作品を読んでもいいかもしれない。
けど、白戸くんはあまり好きではない。
霞流一「血を吸うマント」
トリックのほうは使い古されている方面のものだったのですがそれでも面白い作品はできるっていう手本みたいな感じ(つまり、種明かしを読んでトリックに気づいた)
文章も読みやすかったから、別の作品を読んでもいいと思った。
加納朋子「虹の家のアリス」
生活くささがかえっていい感じ。話も分かりやすかったし。
ただ、これを読んで母親をするのは楽じゃないな、と思いました(苦笑)
倉知淳「カラスの動物園」
猫丸君がかなり可愛い。脳内にイメージが浮かびました(笑)同時に、長尾さんの空想癖がかなり自分に似ている部分があってちょっと身につまされたり。
このシリーズは面白いのではないか、と思いまして本屋さんに行ってみた。まだ買ってない(というか発見できなかった)たぶん次に手をだすならここだろう。
高橋克彦「筆合戦」
またもや時代系。こっちは専門知識というか、「これを知らなかったら意味が分からない」という部分が少なかったので読みやすかった。新聞のネタを読んでいるだけ、という感覚から一気に全部がまとまってひとつの推理にいたる、という部分はかなり面白かった。
柄刀一「龍之介、黄色い部屋に入ってしまう」
主人公の龍之介くんの性格や話し方はあまり好きではないが、視点として設定されてる「私」は落ち着いていて良い。
人間関係としての話はありがちでも、ビジュアル的なものはかなり派手で全体としては好印象でした。
宮部みゆき「鬼は外」
宮部みゆきは何度読んでも途中で挫折していたので、短編とはいえ読みきったのは初体験。少なくとも、この人は時代物のほうが読みやすいのだな、と認識。内容も結構楽しめた。
ただ、お金が寿八郎を「偽者」だと思い込んだ理由がいまいち未だに分かりません。
森博嗣「いつ入れ替わった?」
読みなれている作家というのは、結局読みやすいのだなあと認識しました。犀川先生です。萌絵ちゃんにプレゼントを渡す話と、警察が悩んでいる事件解決の話が同時進行。
先生がかなり手際よく事件を解決する理由は最後に分かります。
それにしても先生、可愛すぎです。
四季・秋の一歩手前のお話。うっかり文庫版短編集「虚空の逆マトリクス」が出る前に読んじゃってちょっと後悔。
山田正紀「ハブ」
今回の短編集では一番の掘り出し物だった気がします。かなり面白かった。
三つくらいの事件が入れ子状態になっていて、一つ一つで物語ができそうなのに、それを惜しげもなく使っているところがいい。
ヒナコちゃんも可愛いし。うん、これは面白かった。
以上。
とりあえず、猫丸先輩とヒナコちゃんの話はもう少し読みすすめてもいいかな、と思いました。あと宮部みゆきの時代物。
そこそこカタログとしての使命は果たしてくれたと思います。
コメント